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ここでは、優れた強度を持つ鉄骨造のメリット・デメリットを紹介します。
鉄骨造とは、骨組み部分に鉄骨を用いた工法です。正確には鉄の合金である鋼(Steel)が使われていることから、S 造と言われることもあります。鉄骨造には使用する素材の重さによって、重量鉄骨造と軽量鉄骨造に分けられるため、それぞれの特徴を以下に紹介します。
使用する鋼の厚さが6mm以上の建物を、重量鉄骨造と呼びます。1本1本が丈夫なため少ない本数で建てることができ、その分間取りの自由度も高いことが特徴です。ラーメン構法という、接合部を強力に接合する構法で建てられることが多いこともポイントです。
重量鉄骨造は天然の素材である木材に比べ、品質にばらつきが出ないことが大きな特徴です。また、組み立ても木造在来工法のように熟練の技が問われることもなく、誰が建てても安定した品質を供給できることもメリット。
重量鉄骨造の場合、材料が太くて丈夫なことから耐震性や耐火性にも優れています。法廷耐用年数も34年(※)と長く、耐久性の面でも安心して住み続けられるでしょう。また重量鉄骨造りは軽量鉄骨造に比べて柱の本数を少なくできることから、吹き抜けなどの開放的な空間や自由な間取りが実現しやすいこともポイントでしょう。
木のように調湿効果を持たない鉄骨造は、結露しやすいことがデメリット。結露によって鋼が錆びてしまうと耐久性に影響を及ぼすため、防錆処理は欠かせません。また気密性が高い分通気性が悪いことや、断熱性がないことで夏は暑く、冬は寒いという室内環境になりやすいこともデメリットの一つです。
重量鉄骨造は特に、その重さゆえ、地盤が安定していないと建築することができません。地盤の状態によっては、追加工事や地盤改良工事などに想定外のコストがかかることも。元々木造に比べて材料費にコストが多くかかるため、予算はしっかり確保しておく必要がありそうです。
使用する鋼の厚さが6mm未満の建物を、軽量鉄骨造と呼びます。木造住宅のように柱 +梁+筋交いで構造をつくることが多く、鉄骨造の注文住宅はほぼ軽量鉄骨造で建てられています。
軽量鉄骨造も重量鉄骨造と同じく、工場で大量生産できる素材のため品質が安定していることがメリットです。また工期は4ヵ月程度と比較的短いこともポイント。工期が短ければ人件費を抑えられ、コストの削減につながります。
軽量鉄骨造の場合は軽くてもしっかり強度があるため、耐震性の面では安心できる丈夫さを持っています。
軽量鉄骨造も重量鉄骨造と同じく結露が発生しやすいことがデメリット。夏は暑く、冬は寒い点も同じです。
重量鉄骨造と異なる点として注意したいのが、耐火性が高くないことです。重量鉄骨造の場合は部材が太いため、耐火被覆処理を施せば木造よりも耐火性が高いことがメリットでした。しかし、軽量鉄骨造の場合は鋼が薄いため熱に弱く、火災で急激に家の強度が弱まる心配があります。ただし、耐火処理処理を行うことでこの心配は軽減できます。
鉄骨造は耐震性や品質の安定性において優れた建築方法といえます。一方で湿気や熱に弱いため、防錆処置や耐火被覆処理などは必ず行ってもらいましょう。
住宅には他にもさまざまな工法があります。当サイトでも他の工法について紹介しているので、気になる方はぜひそちらもチェックしてみてください。
木造在来工法とは、日本に古くから伝わる伝統的な工法を元に、発展・簡略化させたものです。現代の木造住宅においてもメジャーな工法であり、木造住宅の多くが在来工法で建てられています。
2×4工法とは、2インチ×4インチの角材をベースに、耐力パネルを組み合わせてつくる北米由来の工法です。木造在来工法が柱と梁の「線」で支えるのに対し、壁をすべてパネルで構成するという「面」で支えているというのが、2×4工法の大きな特徴です。
2×6工法とは、2インチ×6インチの角材と耐力壁を使って構造をつくる建築方法です。木造建築の一般的な工法の一つに2×4工法がありますが、それをさらに強化したものと考えてOK。木造在来工法や2×4工法と比べ、強度や性能面だけ見れば優れた工法といえます。
ラーメン構造とは、柱と梁で組まれた骨組みを、接合部が離れないよう強力に接合する構造のことです。木造ラーメン構法で使用する部材は、柱と梁には集成材、接合部にはSE構法の提唱元である株式会社NCNが独自開発した、SE金物を使用します。
RC造とは、柱や梁が鉄筋とコンクリートで構成されていて、鉄筋を組んだ型枠にコンクリートを流し込んで固めたものを指します。耐火性・遮音性に優れた工法です。
SRC造とは、S造(鉄骨造)とRC造(鉄筋コンクリート造)を掛け合わせた工法です。鉄骨の骨組みの周りに鉄筋を組んでコンクリートで固めることから、耐久性は住宅の中でも優れています。大規模なビルの工法として用いられます。