公開日: |更新日:
地震や台風による揺れに対し、住まいを守る機能が搭載されている耐震住宅。耐震住宅は揺れに耐えるだけでなく、さまざまなメリットがあります。その反面、いくつかのデメリットもあるため、あらかじめ情報を集めておくことが重要です。
耐震住宅を建てれば地震対策にかかる費用を抑えられます。地震に備える性能には、耐震性だけでなく制震や免震などがあり、この2つの性能を設置するには数十万円から数百万円の費用が必要です。しかし、耐震住宅は免震性や制震性を有した住まいよりもリーズナブルに抑えられ、さらに工期も短いというメリットがあります。
耐震住宅というと「地震に強い家」というイメージがありますが、上下の揺れにも左右の揺れにも強いため、強風や台風による影響を受けにくい性質も持っています。日本では毎年のように台風が発生するので、風によるエネルギーにも耐えられる住まいは、より安全性が高いことがメリットです。
一般的に、免震性の高い住まいを建てる場合、地下室が設けられないといった制限がかかります。一方で、耐震住宅の場合は地下室なども自由に設けられるため、設計の自由度が高いことが特徴です。性能を重視するあまりデザイン性に欠けることとなっては、理想的な住まいは実現できません。そういった面でも、耐震住宅は制震性・免震性に優れた住まいよりも仕上がりに対する満足度が高いことがメリットです。
耐震住宅は地震によるエネルギーが住まいへダイレクトに伝わりやすい住まいです。そのため、構造躯体がダメージを受けやすいことがデメリット。地震による倒壊などは免れても、壁や柱にヒビが入ったり、積み重なったダメージにより劣化が早まったりするなどのリスクもあるでしょう。
地震に耐えるほどの強さを持つ耐震住宅ですが、地震発生時には室内の家具などが転倒しやすいというデメリットがあります。家具や小物類が転倒することでケガをしやすくなるだけでなく、火災などの二次災害を招く可能性もあるでしょう。地震発生後の火災は大ケガにも繋がるので注意が必要です。
耐震性能を高める工法には、壁を増やす、耐震ブレースを設置する、カーボンファイバーを設置する、スリットを設置するといった4種類が存在します。
耐震性の高いコンクリート壁を増やして、住まいの強度を向上させる工法です。住まいの強度が大幅に上がるというメリットがあります。
補強が必要な壁にV字型やX字型のブレースをはめ込み、強度を向上させる工法です。大型建築物によく採用される工法で、学校や公共施設で目にすることが多いでしょう。
鉄骨や壁をカーボンファイバーで補強し、地震による揺れの影響を受けにくくします。柱にも設置することが可能で、地震発生時に壁掛け時計やテレビなどの家具の転落を防ぐのにも役立つでしょう。
「隙間」の意味を持つスリットは、文字通り壁や柱の間に隙間をつくる工法です。隙間を設けることで地震による揺れを分散させ、住まいの損壊を防ぐことができます。
耐震性が「揺れに耐える性能」であるのに対し、免震性は「揺れによるエネルギーを伝わらないようにする性能」を指します。免震技術は建物と地盤の間にベアリングや積層ゴムなどの免震装置を設け、地震によるエネルギーを10分の1程度に低減可能です。構造躯体が損傷を受けないため何度も続く揺れにも強く、二次災害を防ぐのにも役立ちます。
制震性は揺れによるエネルギーを構造部分で吸収・分散し、地震による住まいの倒壊を防ぐことが可能です。制震ダンパーや制震パネルを損傷しやすい壁や柱間などに取り付けるという工法が用いられ、導入には50万円程度の費用が必要になります。ハウスメーカーによっては独自の制震システムを用意しているため、特徴や違いをチェックしてみると良いでしょう。
耐震住宅は、地震対策への費用を抑えつつ住まいの倒壊といったリスクを回避できる高い性能を持っています。ただし、地震によるエネルギーがダイレクトに住まいへ伝わるため、建物のダメージや家具の転倒などは避けられません。また、単純に耐震住宅といっても工法はさまざまなので、どの工法を採用するかをしっかりと考えておく必要があります。